きれい好きな日本人は、1日1回以上洗濯する人が多数を占めるのだとか。毎日当たり前のようにしている家事の1つですが、お洗濯はいつ始まったのでしょう?
お洗濯についていろいろ調べていると疑問に思ったことがあります。いつから人間はお洗濯するようになったのでしょう?
たしか大昔の人間は葉っぱや毛皮を身につけていたはず。となると、きっと使い捨て? お洗濯の始まりは衣服の発達に関係しています。また宗教とも深い関わりがあるようです。神様の前では清潔にという気持ちから、体を水に浸すなど「清める」ようになりました。同時に衣服も清めていたようです。しかし、ただ水に浸けるだけでは汚れはきれいに落ちません。そこで衣服を踏む、棒や石で叩くなど、より汚れが落ちるよう工夫したのがお洗濯の始まりです。
エジプトのベニハッサン村に残る紀元前2100年頃の壁画には、当時のスポーツや手品と一緒に人々が衣類を叩いたり絞ったり乾かしたりと洗濯の様子が描かれています。ツタンカーメン王は紀元前1340年頃の誕生なので、きっとキレイにお洗濯された服を着ていたのでしょう。
紀元前250年~西暦500年頃の古代ローマでは、洗濯は現在のコインランドリーのような公共の場で洗濯屋さんが大きなたらいにつけて洗っていました。たらいの近くには叩き洗い用のテラコッタ鉢があって、飛び跳ねたり踊ったりして鉢に叩きつけさらに汚れが落ちるよう工夫したそうです。想像するとなんだか楽しそうです。
また同じ頃のギリシャではまだ石鹸や洗剤が無かったのですが、ある時いけにえの羊を焼いた脂と灰が混じったものが流れ込んだ川の水で衣類を洗うと、なぜか汚れがよく落ちることがわかりました。
脂と灰が混じったものは脂肪酸と灰のアルカリでできた天然の石けんだったのです。この土地の名がサポーで、のちの英語SOAP(ソープ)の語源になったとも言われています。
紀元前500年~1500年頃の中世では、お洗濯は2~3か月に1回の頻度で行われるようになりました。ようやく洗濯液やオリーブ油石けんなども作られ始められるものの、大変な高級品でめったに使われなかったようです。主に踏みつけたり叩いたりと、お洗濯方法はあまり発達しなかった時代です。
1500年~1700年頃のルネサンス期には洗濯板が発明され少しは洗濯が楽になったようですが、18世紀以降も石けんは相変わらず高価で使用済みの洗濯排水が貧しい人達に分けられていました。石けんの研究が進み一般人も使えるようになるのは19世紀末になってからです。
現在の日本のお洗濯頻度の高さを、昔の人が知ったら「何てぜいたくなんだろう!」と目を回してしまうかもしれませんね。次回は日本でのお洗濯の歴史をご紹介したいと思います。