ダニなんて見たことない、という人も油断は大敵。どんな家にも必ずダニはいます。むやみに怖がる必要はないけれど、知識を身につけて損はナシです。
家に潜んで、かゆみを引き起こしたり、アレルギーの原因になったりするダニ。できるだけ退治したいですよね。とはいえ、日本にいるダニの多くは1mm以下と非常に小さく、ほぼ見えない強敵です。そうした敵をやっつけるには、まず敵の情報をつかむこと。知識をつけて対策を練りましょう。
ダニはノミの仲間と思われがちですが、意外にも同類にあらず。ノミは足が6本ある昆虫なのに対し、ダニは足が8本あってクモに近い節足動物です。ただしダニの見た目はクモと違い、主にくびれのないずんぐり体型をしています。
何より驚くのは、種類の多さかもしれません。ダニは現在日本で約2000種、世界では約2万種が確認されています。一説によると実際は10万種に及ぶとも! しかも高山から森林、農地、海岸、水中までありとあらゆる環境で生きています。
同じダニといっても、環境が違えば生態はさまざまです。陸では動物や植物に寄生するもの、昆虫や他のダニを食べるもの、クモの仲間らしく糸を出すものも。糸を出すのは植物の葉裏に寄生する「ハダニ」で、一か所に個体数が増えすぎると体から糸を出して風になびかせ、気流に乗って移動していきます。
また土壌の中には落ち葉をかじって分解する「ササラダニ」、淡水中にはミジンコなどの水中微生物を食べる「ミズダニ」が。はたまた温泉にいる「オンセンダニ」、きれいな体色から「ホウセキダニ」と呼ばれるものもいます。
ダニの多くは地球環境の保持に貢献する益虫で、ダニなしに生態系は成り立たないといわれています。人間にとって害を及ぼすダニはごく一部。その一部のダニが問題なのです。
一般家庭では約20~30種類のダニがいて、半数以上を占めるのがチリダニ類の「コナヒョウヒダニ」「ヤケヒョウヒダニ」だといわれています。これらのダニは血は吸わないものの、その死骸やフンが、喘息はじめさまざまなアレルギーに結びついてしまいます。
チリダニ類は産卵数が200~300個。卵から成虫になるまで約1か月で、2か月ほどの寿命があります。えさは、ハウスダストに含まれる人やペットのアカやフケ、食べこぼし、昆虫の破片など。住みかはふとんやカーペット、たたみ、クッションといった寝具や敷物、布製品です。
今の住宅は機密性に優れ、ダニにとっても一年中快適なのだとか。特に夏場のピーク期は10週間で約300倍の個体数になるというから対策が必要です。詳しくは次回以降、ご紹介していきます。